大豆だけでなく米、粟、黍など五穀を原料とし、備前焼の大甕のなかでクラシック音楽を聞かせて熟成するという珍しい製法の醤油メーカーがあります。
今回の産業観光は、原料の素材にこだわり、製法にこだわって新しいイメージの醤油を生み出した岡山市のキミセ醤油の見学です。
キミセ醤油の本社は岡山市妹尾のJR妹尾駅前、と聞いて訪ねていきますと、住宅街の路地を入ったところ歴史を感じさせる社屋がありました。江戸後期の慶応2年(1866年)に材木屋としてスタートし、明治17年(1884年)に醤油づくり業に転業したそうです。以来120数年、岡山に数多くあった醤油メーカーのひとつとして"キミセ"のブランドを守り醤油づくり一筋に歩んできました。
見学者がまず通されるのは事務所3階の広い部屋です。入ったとたんに目に入ったのがガラス室のなかにある備前焼の大甕。実はこの大甕、キミセ醤油が従来の醤油づくりのイメージを一新するきっかけになったものです。
永原琢朗副社長によりますと、備前焼の大甕による醤油の調熟製法が導入されたのは1994年でした。当時、麹から醤油までの一貫した製造工程を実現していたキミセ醤油にとって、次に目指したのが新しい時代に抜きんでた醤油づくりでした。そこで開発されたのが、備前焼の大甕(森陶岳制作)による調熟製法だったのです。
これは、醤油の調熟過程で備前焼の大甕に醤油を循環させ、同時に大甕のなかの醤油にクラッシック音楽の振動を伝えることで酵母の働きを活発にし、熟成を促そうというものです。つまり、醤油にクラッシック音楽を聞かせるというわけで、その音楽はというと、あの明快なモーツアルトなのだそうです。
見学者には音楽を振動に換えて大甕に伝える仕組みが紹介され、醤油づくりのふしぎな一端を垣間見ることが出来ます。
そして、キミセ醤油の新しい醤油づくりのもうひとつが、原料に大豆だけでなく、米、小麦、黍、粟を加えた五穀を取り入れたことです。伝統的な製法を守りながら、五穀の素材それぞれの旨みを活かすことで新たな醤油の価値を追求しようというわけです。1997年、五穀による製法が確立すると、キミセ醤油のことを「五穀蔵」と呼び、各地の販売店も「五穀蔵」の名前で知られるようになります。
その「五穀蔵」のうち、本社に一番近い岡山市妹尾の「五穀蔵」は工場兼店舗となっていて、見学コースのひとつです。早速、移動し案内してもらいました。
「五穀蔵」には出来上がった醤油の素にだしを加えてブレンドする工程があって、ここではなんと、蔵の中でかつお節を削ってそのまま釜に入れてだしをとるので、かつお節のぜいたくな香りを愉しむことも出来ます。また、全自動の紙パック詰めの工程が見学できるほか、キミセ醤油の全商品が店頭展示されています。
メインの『五穀芳醇しょうゆ』や『まろやか』など本醸造醤油をはじめ、『ゆずポン酢』など5種類のだし醤油、それに『五穀まろやか酢』など多種多様な商品があって、これらはすべて紙パックで販売されています。見学者には「紙パックが何故いいか」などについて説明があったあと最後に『五穀芳醇しょうゆ』など500ml入り醤油2本が土産としてプレゼントされます。
出発(岡山・倉敷市内 9:30〜9:00) ⇒ キミセ醤油本社 ⇒ 五穀蔵(午前中) ⇒ 移動・食事 ⇒ 犬養木堂記念館・生家(午後) ⇒ 帰着(岡山・倉敷市内 16:00〜16:30)
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